戦前はもちろん、戦後も、昭和三〇年代の前半までは、職場での恋愛は敬遠すべきものといわれていました。
昭和三五、六年でさえも、「職場で恋愛するような者は、仕事に身を入れていないものだ」とか「職場で恋をするような男は、出世できないと思え」と公言する重役がいたものです。
また、一般的にも、経営者たちは「職場の恋愛や結婚は歓迎できない」としていました。
ところが最近では、むしろ、職場結婚を歓迎する経営者がふえ、時代の変化というものを感じきせます。
同じ職場で、机を向かい合わせて毎日顔を合わせていたり、机が隣合わせになっていっしょに仕事をしていたりすれば、しぜんに恋も芽ばえてきましょう。
これをむりに禁止しようとした時代のほうが、あまりにもふしぜんだったといえますし、かえって、陰でこそこそと恋をする男女を多くつくってしまったといえます。
しかし、職場恋愛のなかでも、その動機を調べてみますと、男性側の動機としては、二目ぼれ」的なものが圧倒的です。
一目見て、「かわいいなあ」とか「すてきだなあ」と、胸のときめきを覚え、意識的に交際の機会をつくっていって、恋をみのらせるということになります。
女性の場合は、やはり、男性からはたらきかけられてスタートし、恋をするにいたったというのが、職場結婚をしている人たちのおおかたの動機です。